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 「JIMA2010 会員フォーラム」演者発表要旨






                      ■日時 平成22年6月23日(水) 14:15〜17:00

                      ■場所 東京・中央区晴海区民館




  <一般口演>

(1)特定健康診査・特定保健指導事業の運営成果

          高木 秀一 (株式会社テプコシステムズ)


(はじめに)
平成20年4月から、"高齢者の医療の確保に関する法律"により、メタボリックシンドローム (内臓脂肪型肥満)の早期発見を目的とした健康診査(特定健康診査)を行い、健康診査 でメタボリックシンドローム、あるいはその予備群とされた人に対して、保健指導(特定 保健指導)の実施が医療保険者に義務付けられた。この事業を遂行するためには、事業主、 健診機関、保健指導機関、および加入者と多岐にわたる関係者をとりまとめること、さら に進捗管理をしていくことが求められ、人材と体制が必要となるが、多くの医療保険者に とっては準備するには困難な状況にある。

(方法)
品質管理で用いるプロセスアプローチ*にて、厚労省の「標準的な健診・保健指導に関する プログラム」を分析し、各プロセスにおける「インプット」「資源・情報」「アクティビ ティ・方法「アウトプット」を定義して、PDCAサイクルを通じてそれら適正に管理する 「シームレスな推進スキーム」を考案し加入者規模約10万人の某健康保険組合に構築・導入 した。

*品質の向上・維持の活動を最終工程における検品に頼るのではなく、すべての工程におい て、それぞれの役割や要件、目的・目標、有効性などを明確にし、工程間の相互関係を的確 に把握して、不良品やミスの発生を少なくするという考え方

(結果)
H21年11月、国に報告したH20年度分は、健診受診率78.1%(計画76%)、保健指導実施率 15.2%(計画15%)と、いずれも計画達成となった。

(考察)
この結果は、制度の周知不足や理解不足による現場での混乱、電子的標準様式(XML)の 統一仕様の遅れ等、環境の不備が全体的に起こった中で、保健指導までたどり着けなかった 多くの医療保険者を勘案すると十分な成果を出すことができたといえるものである。

(おわりに)
プロセスアプローチによって考案した特定健診保健指導事業の「シームレスな推進スキーム」 は、適切なプロジェクトマネジメントを実践することにより、環境整備が完全でない状況におい ても目標値達成する成果が得られる。



(2)EHR/PHR実現のためのID付番に関する課題
   〜国民IDの議論を踏まえてセキュリティとプライバシーをどう担保するか〜


          山崎 文明 (ビジネスアシュアランス株式会社)


EHR/PHRを推進していくためには、個人を識別するIDの付番は避けて 通れない。 一方、ID付番にはプライバシーの侵害やセキュリティを懸念する声が根強くある。 こうした状況にあって、国民の理解のもとにEHR/PHRを推進していくためには、 セキュリティとプライバシーの保護を担保できるシステム構築が重要である。 同様の課題は、国民IDの付番にも共通しているものの明確な政府方針や普及に 向けた戦略がいまだ見えてこない。議論の基礎にある海外の事例調査も表面的かつ 時代遅れの感が否めない。国民IDの検討状況を踏まえEHR/PHRに求められる IDの設計について考察する。



(3)SNSを採用したオンライン喘息日誌の開発と運営

      西藤 成雄 (西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニック)


【目的】
喘息日誌は長期間記録を続けられる患者が少ない。そこで招待制や足跡機 能などSNS(Social Network Service)の仕組みを取り入た、携帯電話による喘息 日誌を開発し、患者の利用実態を調べる。

【方法】
当院に定期通院する外来患者に、今回開発した「オンライン喘息日誌 Watch MyAsthma」の趣旨と操作を説明し利用を勧めた。約1ヵ月使用後に記録率 や利用頻度など調査した。

【結果】
27名の外来患者から協力を得た。招待制により医師が患者を容易に登録 できた。日誌回診を行い患者のコントロールを常時把握できた。患者も主治医の 回診を「足跡機能」で知り日誌を記録する意識が高まった。一定時刻のリマイン ドメールにより一括入力が減り、毎日利用されコントロール評価が厳密に行えた。

【結論】
SNSを実装した本喘息日誌は、喘息治療へのアドヒアランスの改善に効果的であった。 本研究は「厚労省免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業:ユビキタス・インター ネットを活用したアレルギー患者の自己管理および生活環境改善支援システム、 遠隔教育システム、患者登録・長期観察システムに関する研究(代表:須甲松信)」の 一環として実施された。



(4)MLインフルエンザ流行前線情報DBから見た新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)の臨床像について

      西藤 成雄 (西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニック)


MLインフルエンザ流行前線情報データベース(ML-flu)は、有志医師からインフ ルエンザの検出報告を通年性に受け取り、Web上にリアルタイム集計表示を行っ ている。2000年冬季より運営を始め、有志医師は380〜400名程度。報告数の推移は、 感染症週報と非常に高い相関を持つ。

2009年第27週から2010年第5週までに、86250件の新型インフルエンザ (A/H1N1pdm)報告を受けた。A/H1N1pdmの臨床症状について、過去のシーズンと比 較検討した。

男性 54.0%、女性 46.0%と、男子の報告がややく、年齢分布では、10-15歳の 報告が他のシーズンに比べ突出して多い。重症例の報告は、昨シーズンの報告で は16例であったが、今シーズンでは157件。コメント欄に神経症状(痙攣など)の 記載がある症例は、昨シーズン86例、今シーズン89例。それに対し呼吸器症状( 肺炎など)の記載は、昨シーズン26例、今シーズン121例であった。



(5)待ち時間革命〜医療の質と待ち時間〜

          前田 泉 (スナッジ・ラボ株式会社)
 

 人気の病院には患者が押し寄せ、数時間の待ち時間を感患者自身が発生させている。 病院の苦情のトップが時間である。この矛盾に満ちた待ち時間問題をマーケティング、 時間心理学、社会学からの豊富な調査データから「待ち時間は品質を示すシグナルであり、 存在そのものは悪ではないない」。したがって、待ち時間をゼロにすれば良いかといえば、否。 要は長さではなく、待たされ方の質である点を整理した。つまり患者に「どれくらい 待つことになるか」情報発信し、待ち時間に細やかな配慮を示すことが大事である。 そうすることで患者は待ち時間の使い方の主導権を持ち、「奪われた時間」と思って いたのとは逆に「自分の時間として取り戻すことができる。予約の取り方の工夫、 ていねいな待ち時間表示、声かけで患者さんのイライラ感はずいぶん解消できるし、 時間期待値という考え方を取り入れ、期待値をコントロールすることで、待たされ方 の質を改善することができる。


(6)HONの活動概要とHONcode申請について

          梶原 麻喜 (Health On the Net Foundation(HON))
 

 1996年設立以来、Health On the Net Foundationは医療・健康関連ウェブサイト の質と信頼性改善に取り組んでいる。HONcode認証ウェブサイト数は7,000を超 え、欧米を中心に認証サイト数が日々増加している。今回は、HONcode認証を含 めたHONの活動と、HONcode認証の仕組み、審査のポイント等についてご説明したい。


(7)医療機関によるインターネット上の医療広告の実態と課題

          三谷 博明 (日本インターネット医療協議会)


<はじめに>
平成19年から施行された医療法の広告規制の見直しにより、医療機関が広告できる事項が 拡大されることになった。インターネットについては、これまでほとんど規制がなかったが、 医療広告の要件定義により、インターネットでも医療広告として扱われるケースが出てきた。 平成20年11月の演者らの調査で、インターネットの検索サイトで不適切な広告表現があるのを 見つけていたが、その後の変化状況を調べるため、ふたたび同様の調査を行った。

<方法>
平成21年10月、11月に、国内で一般利用されているYahoo! Japanの検索サイトで、厚生労働省 の医療広告ガイドラインにおいて不適切な広告表現として例示された「審美歯科」、「アンチ エイジング」の用語で検索を行った。検索結果のページで表示される広告の中から、医療広告 の3要件をもとに医療広告に該当するものを抽出、その中に違反表現が含まれているか判別、 集計した。

<結果>
違反表現である「審美歯科」については、スポンサースペースにおける広告20件うち、45%(9件) が医療広告に該当、20%(4件)が違反と思われる表現を含み、10%(2件)が1年前と同じ違反表現 を使っていた。「アンチエイジング」については、スポンサースペースにおける広告19件うち、 63.2%(12件)が医療広告に該当、36.8%(7件)が違反と思われる表現を含み、10.5%(2件)が1年前 と同じ違反表現を使っていた。

<考察>
同様の違反広告は、Yahoo! Japan以外にも、GoogleやMSNの検索サイトでも発見された。1年 前とあまり状況が変わらないこと、違反広告が放置されたままであることなどから、広告の当事 者である医療機関だけでなく、広告媒体関係者においてもインターネットでの広告規制の内容 が十分認識されていないものと推察される。インターネットで医療機関が行う情報提供はこれ まで原則広報の扱いで医療広告の規制を免れてきたが、こうした現状から、インターネットでの 広告や広報のあり方について改めての議論の必要性が出てきていると思われる。


    ※発表ファイルのPDFです


(8)ネットワークに作用する情報薬:情報薬の概念とその開発

          辰巳 治之 (JIMA理事長、札幌医科大学教授)





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