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 「JIMAインターネット医療フォーラム2016」演者発表要旨



                      ■日時 平成28年12月17日(土) 13:30〜17:00

                      ■場所 東京・中央区晴海区民館


  <一般口演>


1) フィンテックが示す将来のヘルスケアAPIと求められる安全管理

      森田 巧(JIMA運営委員)

要旨: 米国で産声をあげたフィンテックは、金融(finance)と技術(technology)を組み合わせたまったく新しい金融サービスの総称であり、爆発的な拡大をみている。一方、金融機関を病院、金融資産を健康、と置き換えるなら、ヘルスケアでも同様の普及が期待されるのではないだろうか。各医療機関に分散する患者のカルテは金融口座の台帳にあたり、病院間の医療データ交換は決済処理そのものだ。となると、大切なのは通貨にあたる医療データの安全管理である。
 革命前夜かもしれない、いわば「メディカルテック」がもたらす世界感を検討する。



2) そのWebサイトは本当にその医療機関のものですか?
       ―医療機関Webサイトの証明不備問題―

      山野辺 裕二 (社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 法人本部情報部)

要旨: 2017年度から、DPC病院の機能評価係数IIのうちの保険診療指数について、「自院のホームページ上でデータの集計値を公表した場合に0.05点加算する」ことになり、今年10月1日から多くの病院がデータの公表を開始した。一般に我々が目にする医療機関ホームページは、その医療機関が責任を持って情報を掲載していると信じられている。

 しかし、多くの医療機関ではその証明が充分ではなく、単にドメイン名や情報提供の量をもって、その医療機関のWebページだと信じられている。しかし保険点数の根拠とするためには、よりきちんとした確認プロセスが求められるのではないか。この問題の現状を明らかにし、今後取り得る対策を考えてみたい。


3) 医療者が提供する医療情報 〜とあるサイトの場合〜

      中田 郷子(特定非営利活動法人MSキャビン)

要旨: 多発性硬化症(MS)は中枢神経系の指定難病で、日本においても近年、予防治療薬が次々と保険適用されています。しかし残念ながらその治療薬の使われ方は充分とはいえません。治療薬は年々、効果が高く服用しやすいものが出て来ていますが、一方で有害事象も多く、効果とリスクのバランスを見ながら使うことが求められます。

 しかしそのリスクの説明がなく、患者に充分な知識が与えられないまま処方されることがあります。そして実際、重篤な有害事象が次々と報告されています。 ここで、医療機関ホームページガイドラインに照らし合わせて、1人のオピニオンリーダーが運営するサイトを見てください。治療薬の使われ方が充分とはいえないのは、このサイトの存在も大きく影響しているのではないかと考えています。 これにどう対応したら良いか、ご意見をお聞かせいただけると助かります。よろしくお願いいたします。


4) 適切な医療情報の提供の必要性について

      東丸 貴信(東邦大学医療センター佐倉病院)

要旨: 超高齢化社会において、心臓血管病は死亡の主因になるのみでなく、重大な後遺症を残すことが大きな社会的問題となっている。心血管病の原因となる高血圧症などの生活習慣病は高齢者の3分の2以上に存在すると推定されているが、過半数の人は診断もされず治療も受けていない。医学関連の学会や厚労省などの関係省庁などが、啓発活動を行っているが、一般的認識度はそれほど改善していない。それどころか、週刊誌などの一部メディアは学術的常識に相反する情報を流し、医療の現場を混乱させている。一方、製薬業界なども、副作用を控えめに抑えたプロモーション活動を行い、高価な薬を多数販売することに力を入れている。

 そこで、週刊誌の記事作成プロセスを検討して、本当にメディアが悪者なのかどうか検証した。また、生活習慣病や心血管病を予防するための、医療情報の普及法についても検討した。結果、最近の医療現場の混乱は、特定の医師や医療従事者に多大の責任がある可能性が考えられた。また、予防医学の普及にはインターネット医療が重要な役割を演じることが期待される。


5) 医中誌Web(専門情報データベース)を公共図書館で使う

      春名 理史 (特定非営利活動法人 医学中央雑誌刊行会)

要旨: 「医中誌Web」とは国内発行の、医学・歯学・薬学・看護学および関連分野の定期刊行物(学会誌等)約6,600誌から1977年以降に収録された約1,050万件の論文情報データベースのインターネット検索サービスで、各データに米国国立医学図書館のシソーラス「MeSH」に準拠した「医学用語シソーラス」に基づく人手によるキーワード付けを行うことで、国内で発表される医学論文情報を網羅的かつ的確に検索できる機能を備えている。

 こうした専門性の高い医学情報を収録した医中誌Webは、従来医学系の大学図書館、病院、製薬会社といった専門情報を必要とする機関を中心に利用されていたが、近年一般の方々のより専門的な医学・医療情報に対するニーズの高まりと共に、公共図書館での契約数が増加傾向にある。
こうした傾向について、アンケートや実際に訪問してのヒアリングおよび既存の文献等から、実際に公共図書館ではどのような方が、どのような目的で医中誌Webを利用しているのかについて概観するとともに、公共図書館における医中誌Web(専門情報データベース)の利用の価値・可能性について考察する。


6) “Health Information Watcher”によるネットパトロールの試み

      三谷 博明 (JIMA事務局長)

要旨: 昨年7月、消費者委員会から厚生労働大臣に対してなされた建議を契機として、厚生労働省に設けられた「医療情報の提供内容等のあり方等に関する検討会」の最終会合が、この9月に開かれ、議論のとりまとめとした報告書が公開された。それによると、医療機関のウェブサイトについては、引き続き、現行の医療法上の広告規制の適用対象としないが、適切な情報発信を推進する観点から、虚偽・誇大な表示等、不適切な表示に対する規制を新たに設けること、さらには、医療機関のウェブサイトによる情報提供の適正化に向け、監視・是正体制を強化と、規制の周知・遵守の徹底を重点項目にあげ、その実効性を高めていくとしている。

 その具体策のひとつとして、厚生労働省から外部委託を受けた事業者が不適切なウェブサイト等の情報収集を行い、不適切な記載を認めた場合は当該医療機関等に対し規制を周知、自主的な見直しを促すとともに、改善が認められない場合には、都道府県等への情報提供等を行い、指導・監督を要請する、いわゆるネットパトロール監視体制を構築していく計画が示されている。

 医療機関のホームページを一律医療広告の規制対象とすることは免れたが、今後、ネット上には厳しい監視の目が届くことになり、関係者は猶予ならぬ対応を迫られることになろう。

 JIMAがかねてより進めるトラストプログラムでは、信頼性確保の取り組みとして、サイト利用者である患者・市民等が公的ガイドラインや倫理コードに照らして、問題だと思われる事例をモニター・監視、状況に応じて公的機関等に情報提供する仕組みが出来上がっているが、このたび、携帯スマホやfacebook等SNSツールを使って、どのような活動ができるかを検証する目的で、この夏に試験的にネットパトロールを行った。

 その成果を報告するとともに、今後、より有効性を高めていくためにはどうすればいいか、どのような課題があるか検討してみたい。








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