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 「JIMAインターネット医療フォーラム2001」発表要旨





 

インターネットを利用した禁煙支援プログラムのコミュニケーション評価
〜Computer medicated Communication and Community活用の可能性〜

              橋本栄里子(慶應義塾大学大学院医学研究科)



【背景】
インターネットの普及に伴い、Computer medicated CommunicationCommunityが急速に人々の生活に拡がっている。本研究は、それらCMCCを活用した医療プログラムの可能性について強く関心をもつものである。

【目的】
今回の報告では、1997年からメーリングリストを活用し、禁煙希望者に禁煙支援サービスを開始したケース「インターネット禁煙マラソン」と取り上げる。臨床上の成果の測定といった観点ではなく、コミュニケーション論の立場から、3つのResearch Questionを設定し、コミュニケーションプロセスを記述した。

1. CMCC上の禁煙支援におけるケアの担い手(Caregiver)は誰であるのか。
2. CMCCケアは参加者に対して画一的に支援されているのか?それとも、禁煙途中に挫折して再喫煙してしまった参加者に対する集中的・個別対応ケアができているのか。
3. CMCC上での禁煙支援におけるコミュニケーション内容はどのようなものであるのか。

【方法】
(1)第5回の禁煙マラソンのメーリングリストに残された電子ログ(2859通)を対象に、参加者(禁煙チャレンジャー)・アドバイザー(先輩禁煙成功者)・医療者(医師や保健婦など)ごとに、メールのリプライ量(ケア量)を定量的に集計した。
(2)第5回禁煙マラソンの電子ログの中から、参加者の再喫煙状況に着目し、再喫煙の有無と禁煙成功・失敗の4群に参加者を分類し、メールのリンプライ量の違いを定量的に集計した。
(3)Content Analysisにより、立場の異なる2名が、抽出した電子メールサンプル(322通)を対象に、記載された内容を1段落づつ、10カテゴリーに分類し集計した。分類したカテゴリーは(1)共感・(2)受容・(3)感謝・(4)励まし・(5)医学情報・(6)経験からのアドバイス・(7)SOS(援助を求める内容)(8)自己洞察(気づき)・(9)決意・(10)呼びかけとした。

【結果・考察】
(1) 参加者一人あたりの支援実施者の割合は、リプライメール数でみたとき、アドバイザー(禁煙成功者)が70.5%(12.2通/一人あたり)、同じ禁煙仲間が20.8%(3.6通/一人あたり)、医療者は8.7%(1.5通/一人あたり)だった。このことはCMCC上でのケアの中心的な支援者は、先輩の禁煙成功者であったことを示している。CMCC上でのケアは、医療者による一方的指導ではなく、グループダイナミズムを活用しながら、参加者・先輩禁煙成功者コミュニティで実施されていたことがわかった。
(2) ケア量について禁煙状況別に結果をみてみると、スムーズに禁煙できた参加者(平均15.7通)に比べて、途中挫折して再喫煙を告白した参加者(平均26.4通)に対して選択的に支援が集中していることがわかった。このことは、従来の医療プログラムでは、対応できなかったフォローアップの即時性・個別対応性・継続性が、CMCC上のケアでは実現されていることを示している。
(3) 支援内容(メッセージ)は全体として励ましや受容などの精神的サポートが中心であった。特に、参加者による発言内容をみてみると、支援者(Caregiver)に対する決意・感謝以外にも、自らの気づきや内面を探求した自己洞察、他の参加者をサポートしようとする励ましなどもみられ、参加者が医療サービスの「受け手」として参加しているではなく「送り手(Caregiver)」としても参加しており、患者の主体化が起こっていることが推測された。

    表1:参加者一人あたりの支援実施者
    表2:禁煙状況別支援量
    表3:メール発信者別内容カテゴリー頻度

【提言】
以上、インターネットを活用した禁煙支援プログラムを対象にコミュニケーション分析の観点から記述を試みた。その結果、CMCCの医療プログラムへの活用は、以下2点において大きな可能性・将来性を有していると考える。まず第1に、生活習慣病の増大に伴い患者の生活指導の重要性が指摘される中で、医療者にとって患者と継続的な関係性を構築しながら、個別対応が可能な点である。そして第2に、患者相互のセルフヘルプ行動が自発的に起こり、コミュニティが形成され、患者の主体的な参加・関与が期待できる点である。 今後は、禁煙プログラムの参加者が、その後ボランティアとして後輩の支援にあたる主体化プロセスを、エンパワーメントプロセスとして位置づけ、研究を進めていく予定である。






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