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 「JIMAインターネット医療フォーラム2003」発表要旨



 

 

慢性疾患患者のネットコミュニケーション
          〜掲示板・メーリングリストの問題点〜




            中田 郷子 (国際多発性硬化症支援基金日本支部代表)






 インターネットの普及増加に伴い、自身の病気に関する情報を収集する患者が増えてきています。慢性疾患の場合、今後、病気と上手く付き合っていくためには、まずその病気について良く知ることが大事です。病気を受け止め、主治医からの説明だけではなく、自ら積極的に知ろうとするのは、前向きな第一歩です。

 インターネットには、一般向けに病気を説明したサイトが数多くあります。医療機関から発信されているものから、当事者自身が発信しているものまであり、その信頼性は様々です。ここで、当事者から発信されるサイトについて検討しました。

 当事者サイトでは、自らの体験談と共にその病気を説明したものが多く、最近では出所も明記されるようになってきました。その中で、同じ状況に置かれた人同士のコミュニケーションを目的に、掲示板やメーリングリストが運営されているサイトがあります。

 慢性疾患患者の場合、その病気とずっと付き合っていかなければなりません。掲示板では病気についての情報が交換でき、また、励まし合うことができます。全国どこにいても1つの場所でつながっていることができます。外出の機会が減ってしまう患者にとっては、大革命ともいえます。

 しかし、ネットコミュニケーションが、治療や病状に悪影響を与えることがあります。特に治療法が確立していない病気だと、個々の状態によっては治療が一般的な治療とズレることがあります。診察と検査を続けながら、個々の患者に合わせた治療方針を立てているわけですが、たった1つの投稿により、主治医への不信感が生まれ、治療方針に影響を与えることもあります。現実として、掲示板の投稿により、主治医とのコミュニケーションが悪化したケースもあるのです。

 当事者の口コミ情報は、時に有用ですが、管理がしっかりおこなわれていない掲示板での口コミ情報は、危険な場合があります。また、投稿のやりとりの中でトラブルがあった場合、精神的な影響から病状が変化することもあり得ます。

 対応策として、ルールを決めているところがあります。しかし、表現の自由の中でルールを遂行することは、運営者にとってはかなりの負担で、掲示板利用者の増加に伴って運営が厳しくなっていくでしょう。そして、どんな情報でも求めている患者にとっては、投稿内容がまず目に入り、詳細なルールを理解することは難しいでしょう。

 インターネットが登場するまでは、人とのコミュニケーションは、実際に会って相手の表情を見たり、電話で声を調子を聞いたり、ゆっくり時間をかけて手紙を書くことでした。ネットでのコミュニケーションは、活字で表現され、読み手のその時の感情により、また、文章表現により、思いが伝わりづらいことがあります。これを理解したうえで利用することが大事ですが、病状に影響を与える可能性のある患者は、特に注意しなければなりません。

 インターネットを利用する患者は、ネットの世界を第一とせず、病気と上手く付き合うための補助的なモノという認識をしっかり持つ姿勢が大事です。





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