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患者経験調査システムPSIの概要三宅 啓(株式会社イニシアティブ代表) 昨年12月8日、ブッシュ大統領は通称「Plan B」に署名し、これによって全米病院の質的パフォーマンスを患者視点で評価する国家プロジェクトが今年 開始されることになった。 このプロジェクトのために開発された標準クオリティ尺度セットがHCAHPSと呼ばれる患者経験調査ツールである。HCAHPSは決して平坦ではない開発プロセスを経て、今春ようやくファイナルバージョンが公開されるに至ったが、開発途上における主たる議論あるいは論争の焦点は「患者満足度か患者経験か」という点にあったと要約できるだろう。 すでに米国に先んじ、英国NHSはイングランド、ウエールズの全トラストで患者経験調査をCHIを通じ実施し、その結果をすべて公開している。患者視点の調査手法として患者経験調査が世界の主流になりつつあるが、日本ではこれら世界の動向がまだほとんど紹介されていない現実がある。 すべては1987年ボストンで設立されたピッカー研究所およびハーバード大学医学部から開始された。創始者であるハーベイとジーンのピッカー夫妻は、医療システムの現状が患者とその家族のニーズに全く適合していないと考え、患者中心医療(Patient-Centered Care)というコンセプトのもとに四つのシンプルでベーシックな問題を提起した。 1.患者は何を望んでいるのか? 2.患者は何に価値をおいているのか? 3.何が患者の健康問題を管理する患者能力の助けとなるか、あるいは妨げとなるか? 4.医療のどんな側面が患者と患者の家族にもっとも重要なのか? 以上の基本問題を解明するために7年間にわたる膨大な調査研究が積み上げられ、その結果として、有名な「患者中心医療の8次元」が患者視点のキイドライバーとして確立されたのである。これに即して開発された患者視点の新たな医療機関パフォーマンス測定手法が患者経験調査である。 PSI(Patient Survey Initiative)はこれら患者視点医療評価の新しい動向と理論を積極的に取り入れ、客観的で統計的にも信頼のおける医療評価システムをめざしている。質的評価に対する要求は医療界のみにとどまらない。80年代後半に米国で制定されたMB賞に刺激を受け、企業、行政、大学などすべての産業セクターと公的分野において質的評価が活発に実施されてきている。 医療評価も単に医療プロパーという問題領域に閉ざされるのではなく、これら広範囲な活動とその成果を背景として論じられるべきものであろう。 今回の発表では、以上のような問題意識に立って、PSIをご報告したいと考えている。 |