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 「JIMA'99第一回会員研究会」発表要旨




   「"薬と副作用情報"の提供について」

                 藤田かがり(萬有製薬株式会社)

 


1.はじめに

インターネット白書’99(インプレス社 1999年7月1日発行)にJIMAがインターネット医療
で果たしているパイオニア的役割が、本年初めにJIMAによって行われたアンケート調査(注1)
結果とともに 以下のように紹介されている。

―――1998年に設立された「日本インターネット医療協議会」

http://www.jima.or.jp/index.htmlは、1999年初めに「インターネット医療情報の利用
状況に関するアンケート調査」を実施した。そして協議会のホームページ上には以下のような調
査結果(速報)が公開されている。 ネットでの医療情報がかなり役立つと答えた人は全体の4
5%にのぼり(資料4-4-1)、現在受けている医療がよく理解できたと答えた人が37.1%
(資料4-4-2)、充実を期待するネットでの医療情報としては、病気や健康管理に関する情報が
1位、ついで薬の効能や副作用に関する情報が上げられた(資料4-4-3)。
一方、懸念する問題としては、誤情報や情報の誤利用によって利用者が不利益を被る恐れがある
ということが1位であった(資料4-4-4)。 上記の調査結果には、ネット上の医療情報の入手
に関する市民の期待と不安が如実に現れている。インターネットには行政などによる管理や監視
は余りなじまないが、上記協議会のような良識あるネットワーク専門家のグループによって、ネ
ット上の医療情報発信のあり方が絶えず吟味され、論議されることは、時代の要請とも言うべき
事であろう。―――

JIMAの同アンケートにより、「ネット上の医療情報は役立つ」という認識の一般への浸透がわ
かると共に、「今後充実を期待するネット情報」として第一位に「病気・健康管理に関する専門
的情報」(71.3%)、次いで「薬の効能、副作用に関する情報」(60.2%)が挙げられており、医療・
健康情報や薬に関する一般の関心とニーズの高まりがうかがわれる。
萬有製薬(株)は1996年10月1日のホームページ(http://www.banyu.co.jp/)開設以来、
企業ポリシーである「患者さんのために」を追求する一手段として、医薬品の適正使用と患者さ
んへの正確で有用な情報提供を目指しホームページで各種の健康、医療、介護情報を提供してき
た。またJIMAの設立趣旨に賛同し、製薬企業としてはいち早く(現在製薬企業としては唯一の)
賛助会員として加盟させて戴いた。
本日は、製薬企業の立場から、本年7月末に萬有ホームページ上で開始した「くすりと副作用」
(http://www.banyu.co.jp/health/fukusayou/index.html)について若干の解説と問題の提示を
行いたい。

2.医薬品情報の重要性
「くすり」は必ず「副作用」というリスクを持つものであり、治療効果というメリットとのバ
ランス判断の上で、慎重に使用されるべきものである。副作用も含め薬の効果は、あくまでも
科学的、統計的に取り扱われる性格のものであるが、副作用で苦しまれている患者さんにとっ
ては、統計上「ごくまれに」という言葉も、その苦しみを緩和するものではないであろう。副
作用の被害を最小限とするため、医師、薬剤師などの専門家や、患者さん(医療消費者)自身
ができるだけ初期に副作用に気づき、使用を中止するなど適切な対応をとることが重要である。
そのために必要な情報を迅速に伝達することは、製薬企業の重要な社会的責任である。

3.「くすりと副作用」
 萬有製薬(株)は本年7月22日より一般向けに、直接患者さんの手にわたる錠剤、外用剤
などの薬剤について、その副作用の症状と発現頻度を用語と共に平易に解説した「くすりと副
作用」の提供を開始した(注2) 。年内には患者さんの手に渡る全ての製品について掲載する
予定である。詳細は同コンテンツを参照していただきたいが、この目的はあくまでも、正確で
分かり易い情報を公開することにより、万一副作用が起た場合にもできるだけ早期に気づき医
師や薬剤師に相談して頂くこと、また不必要な不安を取り除くことにより、安心して服用し治
療に専念して頂くことである。
この情報公開に対し、当初心配していた「患者さんが不安になり、医師が質問責めにあうので
はないか?」「患者さんが薬を服用しなくなるのではないか?」などの医療専門家からの批判
はほとんどなく、JIMAの西藤先生などを初め支持してくださる方が殆どであり、新聞などのメ
ディアも含め社会的な支持を受けることが出来た。
 一方で行政が提供するサイトとして、本年5月より「医薬品副作用被害救済・研究振興調査
機構」(通称・医薬品機構)が「医薬品情報提供ページ」(http://www.pharmasys.gr.jp/)
を立ち上げ、添付文書情報、安全性情報と副作用(正確には”副作用を疑われる症例報告に関
する”)情報を医療関係者向けを目的に公開しているが、一般の閲覧も可能である。将来的に
は全医療用医薬品約1万2千製品についての拡大と新薬の審査過程の公開も予定されているが、
あくまでも医療専門家が閲覧することを目的としており、一般の方にとっては用語も難解であ
り、自分自身に副作用が起きているかを判別する目的には不向きのようである。
製薬会社自身は、添付文書を一般の閲覧に供することは行えないとされ、また医療用医薬品の
効能・効果を一般に開示することは「広告」に当たるために禁じられている(薬事法第66条
及び薬発第1339号等による)。このため「くすりと副作用」では医薬品の「広告」と取ら
れることを避け、製品の効能・効果については一切触れていない。
本日、東海大医学部教授・大櫛先生の特別講演で医師などの医療関係者や医療機関がインター
ネット上で提供する、医学、医療、施設案内などの情報は「広告」としての規制対象外である
ということを話されたが、製薬企業がインターネット上で提供できる情報の範囲は依然不明確
なままである。
現在の「くすりと副作用」での情報提示のやり方で、服用している患者さん自身にはその副作
用が判るため、さほどの支障は無いと考えられるが、これからも副作用や添付文書の情報を提
供することが「顧客を誘引する意図が明確」である「広告」となるのか明確な判断が待たれる。

4.結び
今後も製薬会社として、開放された優れた媒体を使用するインターネット上の医療の向上のた
め、またJIMAの一員として努力を続けて行きたいと思っている。本日は「くすりと副作用の」
紹介を中心に若干の問題提起を行ったが、今後とも会員の皆様のご指導、ご助力をお願い申し
あげる。

(注1)JIMA[インターネットの医療情報の利用状況に関するアンケート調査結果(速報)]
(http://www.jima.or.jp/JISSEKI/riyoushakekka.html)
<調査方法及び結果> 
  インターネットで医療情報を利用したと考えられる人を対象にメールまたはホームページ
上で回答してもらった。1999年1月29日より3月14日までに502名から有効回答を得た。
 ( )内は %  (小数点2位四捨五入)。
回答者属性は、1.患者:32.1% 2.家族、知人に患者を持つ人:34.7% 3.市民:
13.1% 4.医療従事者:19.5%

(注2)開始時にはクリキシバン、チモプトール、トルソプト、ニューロタン、リポバス、
レニベースの6製品につき掲載した。9月29日にデカドロン、トリプタノール、ノフロ、
ペリアクチン、メネシットの5製品を追加した。







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