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民間の任意団体、日本インターネット医療協議会(JIMA、辰巳治之理事長)は、このたび、ネット上で医療(健康)情報を利用する患者・家族を対象に、日常のネットの利用状況や情報の質やプライバシーの問題に関するアンケート調査を行いました。 その結果、実際に病気や薬に関する情報を日常的にネットで利用している患者・家族はおおむね提供される情報に信頼をおいているものの、情報の質の面で不安を抱き、9割近くが個人情報の取り扱いについて関心を持ち、約8割がプライバシーポリシーが不可欠であるとし、6割以上の人がネット上で提供される情報やサービスの質を確保するための倫理規範やガイドラインがぜひ必要だあると考えていることがわかりました。 この調査は、厚生省の厚生科学研究費補助金の医療技術評価総合研究事業の一環として、当協議会理事長の辰巳治之・札幌医大医学部教授を主任研究者とする研究班が実施したものですが、当協議会からも研究協力者として参加協力させていただきました。 2002年2月上旬に、高血圧、糖尿病、喘息、アトピー性皮膚炎、胃がん等の疾患を有する患者とその家族2,000名を対象にオンラインでアンケートを実施、うち1,081名から回答を得ました。回答率は54.1%でした。 質問の内容は、インターネット上で提供される病気や薬などの医療(健康)情報の利用状況、掲示板・オンライン会議室や医療相談の利用状況、それらの信頼性、個人情報の保護や、プライバシーポリシー、Webサイトの運用ガイドラインなどに関するものでした。 まず、インターネット上で医療や健康に関する情報を検索する時、よく利用する検索エンジンとして「Yahoo!」(61.8%)、「Google」(13.1%)、「Goo」(8.3%)があげられていました。病気や薬などに関する情報の利用頻度は、「1カ月に1〜3回以上」が71.3%と、高い利用頻度を示していました。「利用している情報」については、「病気に関する一般的情報」(73.7%)、「病気の治療法に関する情報」(59.2%)、「薬に関する情報」(54.9%)などが上位にあげられていました。 利用している情報の信頼性については、「かなり信頼できる」と「まあまあ信頼できる」を合わせた数字が、9割を超えていましたが、積極的な信頼を示す「かなり信頼できる」は9.5%にとどまっていました。 信頼できるウェブサイトとしては、「大学病院・国立病院」、「公的な研究機関」、「患者(個人または団体)」、「民間の医療情報提供会社」、「診療所・クリニック」、「厚生省などの国の機関」、「製薬メーカー」、「地域の中核病院」、「医師会」、「保健所」、「薬剤師」の順となっていました。 また、情報の信頼性を判断する基準として、「実在する医療機関が提供する情報である」、「公的な機関が提供する情報である」、「医師または医師団体が提供する情報である」が上位にあげられました。 いっぽう、情報の信頼性を損ねる要因として、「誰が情報提供者かよくわからない」(67.3%)、「情報が一方的で偏っている」(60.5 %)、「情報提供に営利的な要素がからんでいる」(58.6%)といった点が上位にあげられたほか、「情報の作成日が古い」、「裏付けとなる文献・資料など、情報の出所が不明である」、「営利企業が提供している」、「情報に科学性、客観性がない」、「専門家の監修を経ていない」、「情報の作成日が不明である」などもあげられていました。 次に、掲示板やオンライン会議室の利用頻度については、「1カ月に1〜3回」以上が53.2%と、ネット上でのコミュニケーション活動が高くなっていることがうかがえました。これらのサービスを利用するメリットとして、「同じ患者の書き込みから参考情報が得られる」、「病気や治療法に関する情報が交換できる」、「医師など専門家の意見をきくことができる」、「医療機関や医師に関する情報が交換できる」などがあげられていましたが、同時に問題点として、「内容に思い込みや偏見がある」、「営利、広告目的の投稿がある」、「投稿者の身分、立場がわからない場合がある」、「感情的なやりとりがある」、「投稿者自身のプライバシーが危ないことがある」などが指摘されていました。 ネットを利用した医療相談については、回答者の28.7%が「利用したことがある」として、医療相談の普及が進んでいることがうかがえました。さらに、医療相談を利用したことがあるとした回答者に、相談の相手がどのような立場の人だったかを尋ねたところ、「医療機関のサイトや相談ページで直接は知らない医師」(64.5%)、「患者(団体)」(17.1%)、「民間の医療情報提供会社」(16.8%)、「薬剤師または薬局」(9.7%)、「製薬メーカー」(9.7%)、「かかりつけの医師」(8.4%)の順になっていました。 気になる症状で病院に行く前に手軽に相談したり、現在の治療法についてセカンドオピニオン的に質問するなどのケースがから、「直接は知らない医師」が相談相手となる割合が高くなったと推測されますが、こうした便利さのいっぽうで、医療相談において「不安に感じる」のは、「自分の健康データなど個人情報が守られているかわからない」(62.1%)、「得られたアドバイスが正しいものかどうかわからない」(58.4%)、「相手が本当に実在する医師かどうか確認できない」(57.2%)場合などであることがあげられていました。ただ、こうした不安があるにもかかわらず、信頼できる医療相談の相手としては、「医師」(93.1%)とするものが一番で、続く「薬剤師」37.8%や「患者(団体)」を大きく引き離していました。 情報やサービスの質と並んで、昨今、関心の高まっている個人情報の取り扱いについて、「非常に関心がある」(35.1%)、「まあまあ関心がある」(54.5%)の合計で89.6%と、高い数字を示していました。その関心の内容は、「どのような目 的に利用されているかについて」(76.3%)、「第三者に利用されていないかについて」(64.7%)、「誰が情報やデータを扱っているかについて」(59.8%)、「何の情報が収集されているかについて」(55.7%)と、個人情報がどう利用されているかについて高い関心が払われていました。 こうした状況の下で、医療機関や事業者が、個人情報を取り扱う場合、その取り扱い法や保護方針を策定実行していくプライバシーポリシーについては、「プライバシーポリシーは不可欠である」とするのが80.9%、「プライバシーポリシーはできればあったほうがいい」が15.9%、合わせて96.8%にもなっていることが注目されました。また、このプライバシーポリシーの運用法についても、「プライバシーポリシーを法的に義務づけるべきである」(40.8%)、「法的な規制もしくは強制力のあるガイドラインが必要である」(26.7%)、「プライバシーポリシーの策定だけでなく、これを監査・評価する第三者機関の設置が必要である」(26.2%)と、より強い対策が求められていることがわかりました。 また、ネット上で提供される情報やサービスの質を確保するため、情報やサービスの提供者が自主的に定めていく倫理規範やガイドラインについても、「ぜひ必要だと思う」(62.8%)と「やや必要だと思う」(34.4%)の合計で97.2%と、回答者のほとんどが倫理規範やガイドラインの必要性を認めていました。 今回の調査対象者が全体的に、医療(健康)情報を利用する等の目的で、インターネットに積極的にアクセスしているユーザーであることを考慮しておく必要がありますが、ネット利用者の情報の質やプライバシーに関する意識が高まってきていることが確かめられました。自由回答のコメントの中にも、「情報の正確さが気になる。間違ったことをうのみにしていると生命に危険が及ぶこともあるのではないかと不安になる」、「個人情報の流出が問題化しているので、対処法を早急に決める必要がある」というような不安や意見が多くありました。 日本インターネット医療協議会では、「今後、医療・保健分野において、医療機関、企業などの事業者や個人が、インターネットなどの技術媒体を利用して、患者や家族、一般向けに、医療や健康に関する情報やサービスを提供していく際には、個人情報の保護に留意しつつ、情報やサービスの質を確保していくために、自主的に運用可能なプライバシーポリシーや倫理規範、ガイドラインなどが検討されていく必要がある(報告書より)」との調査結果を踏まえ、今後、民間の立場からより実効性があるガイドラインの内容を検討していきたいと考えています。 同協議会は、医師、弁護士、患者代表らが集まり、1998年6月に発足した非営利団体です。医療の提供者と利用者の間にたって、インターネットのような新規技術を安全、有効に利用していく仕組みを探っています。Webサイトの認証機能を持つトラストマークの掲示やプライバシーポリシーの策定実行を通じて利用者の信頼性を高めていくトラストプログラムを提案したり、利用者には「医療情報利用の手引き」を作成、啓発するなどして、医療・保健分野でのインターネット利用の環境づくりに取り組んでいます。 参考資料: ※研究報告書(全文PDFファイルもあります) ※問い合わせは、こちらまで。 |