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 報道記事ファイル



 [1999年12月22日] ●朝日新聞朝刊

 




ネットの医療情報こう使う  市民団体が手引き

「出所」と「質」十分に確認を 「信頼性は玉石混交」

インターネットを使った医療サービスが増えてきた。ホームページで健康情報を流し
たり医療施設を紹介したり、電子メールで医療相談を受け付けたりしている。病気の
早期発見などに役立つこてもある半面、民間療法や商品購入に誘われて戸惑うことも
ある。インターネット医療を利用しようという人が「適切な情報を得られ、正しく使
いこなせるように」と、患者.家族や医師らの団体がネット医療の利用手引きを作った。

この団体は日本インターネット医療協議会 (JIMA、事務局・東京)。ネット医療の健全
な発展を願う人たちで昨年六月発足した。手引きをまとめたきっかけは、ネット医療
をめぐるトラブルが散見されるようになったからだ。
三谷博明・事務局長は、アトピー性皮膚炎の患者や医師らでつくる情報ネットワーク
「COSMOSネット」を運営している。情報交換の場である電子掲示板では、患者の体
験談や医師のアドバイスがほかの人にも参考になっているが、以前は個別の食事療法
やスキンケア、商品を宣伝する書き込みもあった。この病気で特定の薬を使う医師達
を非難するホームページもあるという。
 JIMA運営委員長の小児科医西藤成雄さんによると、電子メールの医療相談で子供の
命が助かった例がある。
嘔吐を繰り返す乳児の親が別の小児科医へメールで相談したところ、生まれつきの病
気の疑いを教えられ、総合病院で診断の結果、緊急手術をして救われた。
 しかし、「体質改善にいいお米がある」といった宣伝のメールがあったり、ネット
の通販で買ったコンタクトレンズで目に異常が起きたりしたケースが出ている。美容
整形や不妊治療などを手がける医療施設のホームページは事実上の広告となっており、
厚生省の認可していない薬の宣伝も増えているという。
「あふれる医療情報から身を守ろう」(西藤さん)と出来たのがネット医療の利用手引
きだ=表。全文は西藤さんのホームページ上(http://www.kodomo.co.jp/medneti/
index.htm)、要旨はJIMAのホームページ(http://www.jima.or.jp)にある。
 手引き作りにかかわった花井荘太郎・国立循環器病センター高度情報専門官はネッ
ト医療について「患者さんの知識が増え、医師も治療方針が説明しやすくなった」と
評価しつつ、「情報は玉石混交。良いものも悪いものも同列で流れてくる」と指摘。
「手引きの狙いはネット医療をより使いやすく、身近なものにしていくために、阻害
要因を取り除くこと」と説明する。
 JIMAは情報提供者の明示などを求めた医療情報発信者ガイドラインも作っている。
 JIMA理事長の辰巳治之・札幌医科大学教授は「利用手引きを小冊子にするなどして
幅広く意見を聞き、よりよいものにしていく一方、安心して利用できるホームページ
がどのくらいあるか実態調査をしたい。ホームページを評価するシステム作りも検討
している」と話す。

ネット医療利用手引きのポイント

【ホームページの情報】

○質の高い情報を選ぶ
 公共の機関からの発信
 情報の根拠や出典が明らか
 発信者や所在地、電話番号などが明示
○だれにでも有効とは限らないと心得る
○情報を使う際は必ず主治医と相談

【電子メールによる相談】

○不利益が生じても回答者に責任を問わない
○メールアカウントは個人のものを使う
○匿名の相手は避ける
○緊急の相談や重大な相談はしない
○営利目的のダイレクトメールは要注意

【電子掲示板やメーリングリスト】

○個人が特定される記述は避ける
○特定の医療機関や関係者を名指ししない
(日本インターネット医療協議会による)

インターネット全般のルール作りを提唱している白鳥則郎・東北大学教授
(情報通信システム)の話

光と影の両面があるインターネットを発展させようという先進的な試みだ。ネット医
療の利用手引きは注意点がよく整理されており、医療用語を商業用語に置き換えると
インターネットショッピングの心構えになるし、一般的な言葉に換えればインターネ
ット情報の利用指針に通じる。様々な分野でルールが議論されるステップになってほ
しい。
 




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